会社員から独立して軽貨物の仕事を始めるとき、車両や仕事の準備に気を取られて後回しになりがちなのが、健康保険と年金の手続きです。結論からお伝えすると、会社の健康保険を抜けたら、健康保険も年金も、退職の翌日から14日以内に自分で切り替えの手続きをする必要があります。この記事では、何を、いつまでに、どこでやればいいのかを整理します。

会社を辞めると、健康保険の資格を失う

会社員の間は、会社の健康保険(被用者保険)に加入し、保険料も会社と折半でした。独立して個人事業主になると、この会社の健康保険からは自動的に外れます。何もしなければ無保険の状態になってしまうため、退職後は自分で次の保険に加入する手続きが必要です。これは黒ナンバーの届出や車両の準備とは別に進めなければならない、独立に伴う事務手続きのひとつです。

選べる道は主に3つ

健康保険には、主に3つの選択肢があります。1つ目は市区町村の「国民健康保険」に加入する方法、2つ目は会社の健康保険にそのまま最長2年間残れる「任意継続」という制度、3つ目はご家族の扶養に入る方法です。扶養に入るには年収などの条件があり、独立してこれから相応の所得を見込んでいる場合は対象になりにくいため、多くの方は国民健康保険か任意継続のどちらかを選ぶことになります。

期限は「国保・年金が14日」「任意継続が20日」

国民健康保険への加入と、年金の切り替え(後述)は、退職日の翌日から14日以内に住んでいる市区町村の役場で手続きをするのが基本です。14日を過ぎても加入すること自体はできますが、保険証が使えない空白期間の医療費は自己負担になり、あとから保険料をさかのぼって請求されます。一方、会社の健康保険を任意継続したい場合は、退職日の翌日から20日以内という、より短い期限で申請しなければならず、1日でも過ぎると原則として受け付けてもらえません。どちらにするか迷っている間に期限を過ぎてしまわないよう、退職が決まったらできるだけ早く比較しておくことをおすすめします。

年金は「国民年金 第1号被保険者」への切り替えが必要

健康保険とは別に、年金の手続きも必要です。会社員の間は厚生年金に加入していますが、独立すると国民年金の第1号被保険者に切り替える手続きが必要になります。こちらも退職日の翌日から14日以内が目安で、住んでいる市区町村の役場、または年金事務所で手続きします。「健康保険の手続きをしたから年金も終わっている」と思い込んでしまう方もいますが、この2つは別の手続きです。忘れると将来受け取る年金額に影響することもあるため、健康保険とあわせて済ませておきましょう。

保険料は「前年の所得」を基準に決まる

国民健康保険の保険料は、前年の所得を基準に計算されます。会社員時代の給与を基準にした年に切り替える場合、開業したてでまだ軽貨物の収入が少なくても、前年の給与が高ければ保険料も高めに算定されることがあります。翌年以降、事業の所得に応じて保険料も見直されていきますが、独立1年目は「保険料が思ったより高い」と感じることがある、という点はあらかじめ知っておくと、資金計画が立てやすくなります。

よくある質問

Q. 手続きに何を持っていけばいいですか。
国民健康保険と国民年金の手続きには、会社の健康保険の資格を失ったことがわかる書類(健康保険資格喪失証明書など)や、本人確認書類、マイナンバーがわかるものが必要になるのが一般的です。事前に市区町村役場のホームページで確認するか、電話で問い合わせておくとスムーズです。

Q. 国民健康保険と任意継続、どちらが得ですか。
保険料の負担は前年の所得や家族構成によって変わるため、一概にどちらが得とは言えません。市区町村の窓口や、退職する会社の健康保険組合に、それぞれの見込み保険料を確認して比較することをおすすめします。

Q. 国民年金の保険料が払えるか不安な場合はどうすればいいですか。
所得が少ない場合に保険料の納付を猶予・免除する制度があります。未納のまま放置せず、市区町村の窓口や年金事務所に早めに相談することをおすすめします。

Q. 黒ナンバーの届出と、健康保険・年金の手続きはどちらを先にすればいいですか。
法律上の前後関係が決まっているわけではなく、それぞれ別の手続きです。ただし健康保険・年金は退職から14日(任意継続は20日)という期限がはっきり決まっているため、車両や黒ナンバーの準備を進めながらでも、まずはカレンダーにこの期限を書き込んでおくと、うっかり忘れを防げます。

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