軽貨物(黒ナンバー)の事業者は、運転者として初めて事業用の車に乗る人に、国土交通大臣の認定を受けた「初任診断」(適性診断の一つ)を受けさせる義務があります。受けるのは初めて乗務する前で、1人で働く個人事業主は自分が受診します。すでに開業していて、これまで一度も適性診断を受けていない人は、2028年(令和10年)3月31日までに受診が必要です。2025年4月以降に事業を始めた人には、この猶予がありません。
適性診断は、運転のクセを調べて助言をもらう診断です
適性診断は、運転者の運転傾向を確認する診断です。運転の長所と短所、いわば「運転のクセ」をさまざまな測定で調べ、クセに応じた助言を受けます。初任診断は、その結果をもとに、プロドライバーとしての自覚や、事故を防ぐための運転行動、安全運転の留意点について助言・指導を受けるものです。
国土交通省のFAQは、指摘が多い結果が出ても、運転の仕事ができなくなるわけではないと説明しています。診断は運転を禁じるためではなく、自分の傾向を知って事故防止に生かすためのものです。
対象は、運転者として初めて事業用自動車に乗る人です
- 対象:貨物軽自動車運送事業者の運転者として、初めて事業用自動車に乗務する人。従業員を雇う場合も、個人事業主本人も同じです。
- 時期:初めて乗務する前。やむを得ない事情があるときは、乗務を始めてから1か月以内。
- 例外:その事業者で初めて乗務する前の3年間に、初任診断を受けたことがある人は不要です。
65歳以上の人を新たに運転者にするときは適齢診断だけ、事故を起こした人を新たに運転者にするときは特定診断だけで足り、初任診断は別に要りません(ナスバのQ&Aと国土交通省の通達)。
すでに開業している人は、2028年3月31日までに受けます
- 2025年3月31日までに経営届出を出している事業者:過去に一度も適性診断を受けていない運転者は全員、2028年(令和10年)3月31日までに受診します。
- 2025年4月1日以降に経営届出を出した事業者:猶予はなく、初めて乗務する前に受診します。
経過措置があるのは、すでに開業していた事業者だけです。国土交通省のリーフレットは、猶予期間中でも早めの受診を呼びかけています。
受診先は、国土交通大臣が認定した機関です
受診できるのは、国土交通大臣の認定を受けた機関です。国土交通省のページに認定機関の一覧があり、自動車教習所や、独立行政法人 自動車事故対策機構(ナスバ)などが載っています。
たとえばナスバの初任診断は、手数料が4,800円(税込)、診断時間が約1時間40分(ナスバネットで実施した場合)です(2026年10月6日確認)。診断時間は機関によって違い、国土交通省の一覧では約2時間20分とされています。手数料は当日、受付で現金で支払います。トラック協会などの団体から助成金が出る都道府県もありますが、額や条件は団体ごとに違うため、所属する団体に確認が必要です。
ナスバには、個人事業主として貨物軽自動車運送事業を行っている人専用の予約申請フォームがあります。フォームに入力するとID・パスワードがメールで届き(返信まで2〜3営業日)、予約システムで業態に「トラック」を選んで予約します。受診は、営業所のある都道府県以外でもできます。
初任運転者には、診断のほかに「特別な指導」もあります
初任運転者には、適性診断のほかに「特別な指導」を行う決まりがあります。内容は、運転者が守るべき法令や運転に関する事項を5時間以上で、安全運転の実技(添乗指導)は可能な限り行います。ただし、乗務する前の3年以内に貨物軽自動車安全管理者講習を受けていれば、この特別な指導を受けたものとみなせます。
1人で事業をしている場合は、自分が指導する内容を理解する必要があります。国土交通省のFAQは、民間の研修機関など外部の専門機関を使うのも有効だとしています。2025年3月31日までに届け出た事業者は、特別な指導の期限も2028年3月31日です。
初任診断のほかに、適齢診断と特定診断があります
- 適齢診断(65歳以上):65歳に達した日以後1年以内に1回、その後は3年以内ごとに1回。65歳以上の人を新たに運転者として乗務させる場合は、乗務の日から1年以内。
- 特定診断Ⅰ・Ⅱ(事故を起こした運転者):事故を起こしたあと、再び乗務する前に、事故の区分に応じて受けます。やむを得ない事情があるときは、乗務を再開してから1か月以内。診断時間は、国土交通省の一覧でⅠが約2時間40分、Ⅱが約5時間です。
特定診断の対象になるのは、死者・重傷者が出た事故を起こした運転者と、軽傷者が出た事故を起こして過去3年間にも事故を起こしている運転者です。事故を起こした運転者に当たるかどうかは、原則として、その事故に最も大きな責任がある当事者(第1当事者)かどうかで判断されます。
受診した結果は、運転者等台帳に残します
受診したら、診断結果を特別な指導の記録とあわせて、運転者等台帳に添付して保存します。台帳は運転者ごとに作る帳簿で、作成番号と作成年月日、運転者の氏名・住所・生年月日、初めて運行の業務に従事した年月日、指導と適性診断の受診状況を書きます。運転者でなくなったときは、その年月日と理由を書き、3年間保存します。診断結果をなくした場合、ナスバでは過去10年以内の結果を謄本として再発行しています(1通400円・税込。原則として本人が支所に出向き、身分証で確認します。委任状による対応もあります)。
出典:国土交通省「貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正について」(FAQ・特別な指導と適性診断の資料)、「適性診断認定機関一覧」、「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」、貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の6・第10条、自動車事故対策機構「初任診断」「適性診断Q&A」「貨物軽(個人事業主)向け診断予約申請フォーム」(いずれも2026年10月6日確認)。個別の判断は管轄の運輸支局に確認してください。
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