個人事業主から法人にする時期は、売上だけでは決まりません。結論からお伝えすると、軽貨物ドライバーが比べるのは「税金」「社会保険」「取引先」の3点で、どれか1つで決めるものではありません。中小機構のJ-Net21も、社会的信用、税金や社会保険、経理事務、設立や運営の手続きを総合的に検討して決めるとしています。この記事では、2026年10月時点の国税庁・日本年金機構・中小機構などの案内をもとに、比べ方と手続きを整理します。

1点目は税金|利益が増えると法人が有利になることがあります

個人事業主の所得税は、課税される所得が増えるほど税率が上がり、5%から45%までの7段階です(国税庁)。ほとんどの事業では、290万円を超える事業所得に個人事業税もかかります(中小機構)。法人は、資本金1億円以下なら、年800万円以下の所得に15%、超える部分に23.2%の法人税がかかります(国税庁)。一方で、法人は赤字でも法人住民税の均等割がかかり、資本金1,000万円以下・従業者50人以下なら標準で年7万円です(総務省)。社長に払う給料は法人の費用にでき、本人には給与所得控除が使えます。青色申告の赤字を繰り越せる期間も、個人は3年、法人は10年と違います(国税庁)。中小機構は、利益が少ないうちは個人事業、多いと法人が有利になることが多いとして、法人が有利になる利益(売上から経費を引いた額)の目安をおおまかに1,000万円以上としています。ただし、個人や事業の状況で変わるとも断っています。

2点目は社会保険|法人は社長1人でも厚生年金と健康保険です

個人事業主は国民年金と国民健康保険に入ることが多く、従業員が常時5人に満たない個人事業所は、厚生年金と健康保険の適用事業所になりません。法人は、社長1人の会社でも適用事業所になります(日本年金機構)。厚生年金保険料は標準報酬月額の18.3%で、会社と本人が半分ずつ負担します。中小機構は、保険料の負担は重くなるものの、将来受け取る年金は多くなるとしています。健康保険の保険料は、どちらが高いとは言えないとされています。毎月の手取りがどう変わるかは、税理士や社会保険労務士に試算してもらうと確実です。

3点目は取引先|法人を希望する委託元もあります

中小機構は、社会的信用は法人のほうが高く、販売拡大や人材採用、金融機関からの融資で個人事業より有利だとしています。顧客が企業の場合は、取引相手として法人を希望する企業もあるので、注意が必要です。軽貨物なら、委託元が契約の相手を法人に限っていないか、更新のときに法人化を求められないかを、直接聞いておくと判断しやすくなります。なお、代表者以外に役員がおらず従業員も使わない一人社長の法人は、フリーランス法の「特定受託事業者」にあたります。フリーランス新法の記事で整理した、書面での条件明示などの対象です。

法人にすると増える負担|役員報酬と事務

社長の給料(役員報酬)は、毎月同じ額で払う「定期同額給与」などでないと、法人の費用にできません。年度の途中で改定できるのは、事業年度の開始から3か月以内、職務の重大な変更、経営状況の著しい悪化などに限られ、一時的な資金繰りの都合は含まれません(国税庁)。収入に波がある軽貨物では、毎月払える額で決める必要があります。社長の給与でも、所得税と社会保険料の源泉徴収と納付が必要で、法人税の申告は複雑なため税理士に頼む法人が多いと、中小機構は説明しています。株式会社は決算公告も必要で、官報に載せると約6万円かかりますが、合同会社は不要です。

設立の手続きと、設立後の届出

株式会社は、定款を作って公証人の認証を受け、法務局で登記します。登録免許税は資本金の0.7%で、最低15万円です(法務省)。合同会社は定款の認証が要らず、登録免許税は最低6万円です。設立後は、設立から2か月以内に法人設立届出書を税務署に出します。設立第1期から青色申告にするなら、設立から3か月を経過した日と第1期の最終日のうち、早い日の前日までに承認申請書を出します(国税庁)。登記や税務署、年金事務所などの手続きは、マイナポータルの法人設立ワンストップサービスでまとめて申請することもできます。

個人事業をやめる手続きと、軽貨物で確認すること

個人事業は廃業の届出をします。青色申告をやめる人は青色申告の取りやめ届出書、消費税の課税事業者だった人は事業廃止届出書も出します(国税庁)。個人と法人は別の事業者なので、許認可は新たな取得や届出が必要になるのが一般的です(中小機構)。黒ナンバーの届出、車の名義、事業用の保険は、運輸支局、保険会社、ローンの契約先に先に確認してください。消費税の納税義務は個人と法人で別々に判定され、新設法人は原則として最初の2期は免税です。ただし、資本金1,000万円以上の場合などは除かれます。インボイスの登録は、法人として登録するかを改めて検討します。小規模企業共済は、法人の役員になり、その会社も小規模企業者なら、納めた月数を通算して続ける手続きがあります(申出は事由が生じてから1年以内)。くわしくは小規模企業共済の記事をご覧ください。

迷ったときの考え方

  • 今の利益で、個人事業のままの負担(所得税・住民税・国保・国民年金)と、法人の負担(法人税・社会保険・税理士費用)を、税理士に試算してもらう
  • 委託元に、法人を希望しているかを聞く
  • 収入が少ない月でも、毎月一定の役員報酬と社会保険料を払えるかを確認する

売上の額だけで決めず、自分の数字で比べることが大切です。個別の判断は、税理士に確認してください。

ご相談はLINEまたはお電話で

法人化や税金の個別の判断は、税理士にご確認ください。軽バンの購入や支払い方法のご相談は、LINEまたはお電話で受け付けています。お電話は045-345-6722(9〜21時・年中無休)、LINEでのご相談はこちら(今なら3万円クーポンプレゼント)からどうぞ。

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