軽貨物(黒ナンバー)にも、点呼とアルコール検知器を使った酒気帯びの確認は必要です。点呼は、乗務の前と後に、酒気帯び・体調・車の状態を確認し、運行してよいかを判断することです。国土交通省は、1人で働く個人事業主も自分で行うよう案内しています。結果は点呼記録簿に残し、1年間保存します。警察の「安全運転管理者」とは別の制度ですが、車両が5台以上になると、そちらの選任も必要になることがあります。

点呼は、乗務の前と後に確認する決まりです

点呼とは、運転者に対して、法令で決まったタイミングと方法で、決まった事項を報告させ、確認し、運行の安全のために必要な指示を与えることです(国土交通省のFAQ)。確認する事項は次のとおりです。

  • 乗務前:酒気帯びの有無、疾病・疲労・睡眠不足などで安全に運転できないおそれの有無、車両の日常点検の実施またはその確認
  • 乗務後:酒気帯びの有無、使った車・道路・運行の状況(気になる点がなかったか)

乗務前に運転者や車に問題が確認された場合は、運行してはいけません。点呼は、国土交通省のリーフレットで「引き続き実施が必要な主な安全対策」に分類されており、2025年4月に新しく加わった項目ではありません。関東運輸局のハンドブックでは、点呼は「運転者を雇用している場合」の項目として紹介されていました。いまの国土交通省のリーフレットは、1人で事業を行っている場合も自ら実施するとしています。

酒気帯びは、アルコール検知器で確認します

酒気帯びの確認は、運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器を使って行います(貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条)。目視等とは、顔色、呼気のにおい、応答の声の調子などで確認することです。

検知器は、呼気中のアルコールを検知し、その有無や濃度を警告音や数値などで示す機器であればよく、性能の決まりは当面ありません(国土交通省の通達)。営業所ごとに備え、携帯型でも、車に設置したものでも構いません。常に正常に使える状態に保つため、取扱説明書に従って使い、定期的に故障の有無を確認します。通達が示す確認の目安は次のとおりです。

  • 毎日(出発前):電源が確実に入ること、損傷がないこと
  • 毎日確認するのが望ましく、少なくとも1週間に1回:酒気を帯びていない人が使ったときに検知しないこと、アルコールを含む液体を口内に噴霧して使ったときに検知すること

検知器が反応したら、数値が低くても、酒気を帯びた状態で運行してはいけません。道路交通法で酒気帯び運転になる呼気1リットルあたり0.15mg以上かどうかは問われません(国土交通省のFAQと通達)。

1人で働く場合は、自分で確認して、運行できるかを自分で決めます

国土交通省は、1人で事業を行っている場合は、アルコール検知器を使った酒気帯びの確認や車両の日常点検など、点呼で確認する事項を自ら確認し、運行してよいかを自分で判断する、としています。家族と同居している場合は、自分の体調を見てもらうのも有効とされています。

確認のしかたの例は、国土交通省のリーフレットに載っています。体調は、体温や血圧、顔色、呼気のにおい、声の調子などで確認します。日常点検は、走行距離や運行時の状態から適切な時期を決め、エンジンルーム内、ライト、タイヤ、運転席まわりを目視などで確認します。乗務後は、車・道路・運行の状況で気になる点がなかったかを確認し、あらためて酒気帯びも確認します。

点呼の内容は、点呼記録簿に残して1年間保存します

点呼を行ったら、その内容を記録して1年間保存します(輸送安全規則第7条第5項)。乗務前の記録には、点呼を行った人と受けた運転者の氏名、車両を識別できる記号・番号、日時、点呼の方法(検知器の使用の有無、対面でない場合は具体的な方法)、酒気帯びの有無、疾病・疲労・睡眠不足などの状況、日常点検の状況、指示事項を書きます。乗務後の記録は、点呼の方法、自動車・道路・運行の状況、交替運転者への通告、酒気帯びの有無などです。

国土交通省は「点呼記録簿の例」をWord形式で公開しています。1人で自分が点呼を行った場合は、「点呼方法」の欄は「対面」に○をつけるとされています。記録と保存は、書面でも電磁的な方法でも構いません。

点呼を行うのは安全管理者で、遠隔点呼や自動点呼も使えます

点呼は、貨物軽自動車安全管理者が行います。ただし、2027年(令和9年)3月31日までは、事業者内の人が点呼を行っても差し支えありません(国土交通省のFAQ)。1人の個人事業主は、安全管理者でもある自分が行います。

2025年4月から、軽貨物の事業者も遠隔点呼や自動点呼の制度を使えるようになりました(国土交通省のFAQ、令和7年12月更新)。実施には、運輸支局への届出や、国土交通省の認定を受けた機器などが必要です(通達)。

警察の安全運転管理者は別の制度ですが、5台以上なら対象になります

安全運転管理者は、道路交通法にもとづいて、一定台数以上の自動車を使う使用者が、使用の本拠ごとに選ぶ制度で、警察(公安委員会)が所管します。台数は、乗車定員11人以上の車なら1台以上、それ以外の車は5台以上です。運行管理者を置く自動車運送事業者などの事業所は対象外ですが、貨物軽自動車運送事業者は、この除外に含まれていません(道路交通法第74条の3)。関東運輸局のハンドブックも、軽貨物の事業者が車両を5台以上使う場合は、安全運転管理者の選任と、公安委員会への届出(選任した日から15日以内)が必要になると案内しています。

警察の制度でも、2022年4月から酒気帯びの確認と記録の保存が、2023年12月からアルコール検知器を使った確認と検知器の常時有効な保持が、安全運転管理者の義務になっています(警察庁)。国土交通省は、安全管理者が安全運転管理者を兼ねること自体は認めています。ただし、国への選任と届出は、これとは別に行います。台数が基準に届かない個人事業主は、安全運転管理者の対象ではありません。台数の数え方などは、警察にご確認ください。

出典:国土交通省「貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正について」(リーフレット・FAQ)、「貨物軽自動車運送事業者の皆様へ(点呼記録簿の例)」、「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」、貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条、国土交通省関東運輸局「貨物軽自動車運送事業者ハンドブック」、警察庁「安全運転管理者制度」、道路交通法第74条の3(いずれも2026年10月6日確認)。個別の判断は管轄の運輸支局または警察署に確認してください。

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